桜前線

東京で桜の開花が発表された。昨日あれだけ暖かかったから一気に咲いたんだろう。
 
娘は昨日からじんわり発疹があらわれた。
やはり突発性発疹だった。可哀想だけどとりあえずひと安心。

突発性発疹、別名不機嫌病。

そのとおり一日中ずっと機嫌が悪い。あんなに毎日笑い走り跳ねていた娘は一体どこへ行ってしまったのか…

今ごろ罹るなんて、やっぱり卒乳したのが遅かったからだろうか。
考えてもわからないけど、赤ちゃん〜遅くとも3歳までには多くの子供が発症する謎の病。不思議だなぁ。

大体の親にとっても大きな最初の試練ということか。もうそのくらい、すごい。



しかし昨日夫が枕元に置いておいた私の眼鏡を踏み、破壊されたので仕方なく眼鏡屋へ。
メガネがないとなにもできない。超ド級のスーパー近眼。こんなもの立派な障害だといつも思う。こんなことを言っては語弊があるかもしれないけれど。


それにしても一体これで何度目だろう。


パキッという音がした直後、顔を見合わせて思わず吹き出してしまった。そのくらい、もはや驚きすらない。

何度言われても私は眠る前枕元に眼鏡を置くし、何度言っても夫はそのことを忘れ遠慮なく私の枕元を往来する。

学習能力が欠如した者同士が一緒に生活していると、こういうことはよくある。
お互い言わずともそれがわかってるからいちいち怒ったりしない。それこそムダな労力というものだ。


ともかくわざわざ台場まで行き、眼鏡を直してもらった。
娘はずっと抱っこ。
久しぶりにあんなにずっと抱っこして歩いて、腕がどうにかなるかと思った。コアラみたいだった。夫のことは受けつけないらしい。


そのあと娘が「うみ」と言うので、ちょっとだけ潮風に吹かれて。
魚の群れがいて、鳥がそれを狩っていて、空は青くて桜も確かに咲いていて、太陽の光ももう冬のそれとは違ってて、海辺にはたくさんの人がいて、ようやく春が来たんだなと思った。



帰りの車で娘は寝て、家に帰ってからも寝て、ちょっと起きたと思ったけど布団から横になったまま動かず、喋らず、私の腕の中でじっとしていて、水を飲ませたらまた寝た。

何日もずっと家の中にいて、ほとんど寝たきりだったのに、疲れただろうな。そりゃそうだ。ごめんよ…



早くまた笑ってくれないかな。早くまた沢山お喋りしてくれないかな。食べる食べると催促してくれないかな。

桜が満開になる頃までには、よくなってるといいな。


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水車まわれ

娘、生まれて初めての高熱。
今日で4日目。
40℃あった熱はようやく治まったものの、とにかく機嫌が悪い。機嫌が悪いなんてもんじゃなくて、とにかく泣いて暴れて苦しそう。そして「ママー」と常に抱っこしてないとダメな状態。昼夜問わず寝入っても私が布団から出ると泣き出す。赤ちゃんの頃を思い出した。毎日こんな感じだったんだ…そりゃ体も心も変調きたすわなと。今回のこれでますます二人目が遠のいた気がする…

二歳半、これまで体だけは丈夫で風邪ひとつ引かなかった。鼻水を出す時は何度もあったけど、でもこんな発熱は初めてで。

喋らない、歩けない、食べられない。

あれほど毎日「なにたべる?」と四六時中言っていたのに、もうウンザリしていたのに、一言もそれを口にしないともう心配で堪らない。


病院に行ったら、突発性発疹なんじゃないかということだった。
確かにかかることなくこれまできたけど、今さら?
そして今のところ発疹はない。これから出てくるのかな。


文字通りつきっきりの看病。
夜中、高熱にうかされる娘の額のタオルを替えながら、思った。


私はこの子にかつての自分を見ていて、
母親にしてほしかったことをひとつひとつ消化していて、
ひとつひとつ成仏しているのだろうと。


虚弱体質で入院ばかりしていた自分の幼き頃を思い出す。
不安だよね。つらいよね。
早く元気になって、たくさん走り回ってお喋りしてくれるといいな。




娘と横になりながら「かぐや姫の物語」を見た。
素晴らしいの一言で、丸一日経った今も余韻が引かず、娘を抱っこしながらわらべ歌をうたう。




まわれ まわれ まわれよ 水車まわれ
まわってお日さん呼んでこい
まわってお日さん呼んでこい
鳥 虫 けもの 草 木 花
春夏秋冬連れてこい
春夏秋冬連れてこい

咲いて実って散ったとて
生まれて育って死んだとて
風が吹き 雨が降り 水車まわる
せんぐり 命がよみがえる
せんぐり 命がよみがえる




このわらべ歌に映画の内容がギュッと凝縮されているように思う。

竹取物語が日本最古の物語として現代にまで語り継がれているように、このかぐや姫の物語も後世に語り継がれる映画になるんじゃないかと思った。そうであってほしい。


月と地球
貴族と賎民
涅槃と煩悩
生と死

対極と円




 
生きていくってことは、思い出す作業をすることなのかもしれない。

羽田ではじける赤い実

今日はいい日だった。


朝、山形から祖母と父がやってきた。
私達が朝食を食べ終える頃に家を出て、弟夫婦と合流。そして羽田へ。

初めてベイブリッジを渡った。都会の摩天楼が広域に見渡せる。あちこちで灰色の煙が立ち上る工業地帯。その景色は異様で壮観で、まさにシンシティ。

国際線ターミナルへ行かなきゃいけないのに降りるインターを間違えて国内線の駐車場に入れてしまったり、紆余曲折はあったけれど羽田空港国際ターミナルへ到着。

成田に比べて外国人の数が少ない。まぁそれもそうか。
外国人よりもアニメのコスプレをした人達の方が多かったように思う。ちょうどなにかイベントが行われていたみたいだった。

展望デッキで飛行機を見る。
娘は案の定大喜び。寒かったので娘のことは夫に任せ、私はさっさと中に戻った。

そのとき弟の奥さん(私より6つ年上、妊娠6ヶ月)と話していたのだけれど、お腹が随分大きくなっていた。触らせてもらうと確かにそこに生命の息吹を感じる。気がする。おお…!
次の検診で性別がわかるだろうとのこと。どっちかな。楽しみだな。

 
父の彼女(事実婚状態なので継母ともいえる)と、その子供(小学校一年生、イケメン男児、ミックス)が到着。半袖で真夏の装いだった。私達が来ることは報せていなかったので、「サプラーイズ!」と言って迎えた。ものすごく喜んでいた。

娘も予期せず「おにいちゃん」に会えて、最初は戸惑っていたけどすぐに慣れ「おにいちゃん!」と嬉しそうに彼の後ろをついて回っていた。
正月に山形に帰省して以来、ことあるごとに「なつ、やまがた、おにいちゃん、はなび」と口にしていた娘。その夏が来る前におにいちゃんに会えて相当嬉しかったらしい。

二人仲良く手を繋いで空港内を歩いている。
娘は私と夫以外の人の手は受け付けないはずなのに、これは…
しかも娘から手を出して催促している。なんと…

全員で中華料理店に入り遅めの昼食をとる。
普段からは考えられないくらい娘はモリモリとご飯を食べた。それも自分で。食の細い娘の食べっぷりに、ただただ目を丸くするばかりだった。
私と弟、父の彼女、祖母はビールをぐいぐい飲んだ。しかしエンジンがかかってきたところでお開き。彼らはこれから山形に帰るのだ。

恋を煩うと食事が喉を通らないというけれど、娘の場合は逆なのだろうか。
兎にも角にもこれはやはり初恋のようなもので間違いないだろう。たぶん。年上だしイケメンだし面倒見いいしな。うん、わかるわかる。

別々の車に乗るギリギリまで、娘はおにいちゃんの手を離さなかった。これからみんなで飛行機に乗って山形へ行くものと思い込んでいる娘をなんとか引き離し、また夏に帰るねーと別れた。

しばらく「ひこうき!はやく!」とか「やまがたいこー!」とか言っていたが、すぐに寝た。助かった。


さっき、風呂に入る前に夫が「おにいちゃんのこと好き?」と聞いたら「おにいちゃんしゅき」と俯きながら恥ずかしそうに言った。夫は「甘酸っぱい!」と感動していた。




うん、いい日だった。

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雨の青山

今日は平日だけど夫の用事に付き添い、高速でビューンと都心へ。降りたところは外苑で、そこから青山、表参道、渋谷へと車を流した。

休日には休日の雰囲気ってのがあるし、平日には平日の雰囲気ってのがある。街ってなぜかそうだと思う。

平日の昼下がりの、春の雨が降るそのあたりはとっても現実離れしていた。
わたしの知ってる現実や日常とかけ離れている。
まるで白昼夢でも見てるみたい。



ニャッキを見て大人しくしている娘を膝に抱き、まどろみながら思うことは、やっぱり人が聞いたらばかじゃないのって思われるようなこと。
いつもそんなことばかり考えてる。東京に来てからは特に。


子供を産んで母親になった。
母親の責務を全うすること以外のことは暫く考えられなかったけど、でも最近はそうでもない。わたしにはわたしの人生があるし娘には娘の人生があるんだよな、当たり前だけど。

それぞれの人生の起点が家族なのだとしたら、わたしもちょっと頑張りたいのです。

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渋谷

土曜日、夫が帰ってきてから広尾へ。夫の母がちらし寿司などを作って待っていてくれた。ありがたいことです。

日曜日、昼すぎまでウダウダしてから渋谷へ行くことになった。夫が眼鏡屋さんに行きたいとのこと。誘ったら夫の兄もついてきた。

人が多くて娘を連れてはとても歩きづらい。だけどある場所にさえ着いてしまえばあとはこっちのもん。
それはビルまるごと無印良品、の、5階。木育ルーム。娘はここが大好きだ。渋谷に用事があるときは大抵ここに来る。
日曜はやはりかなり子供達もたくさんいるけど、平日は殆ど人がいなくていい。都会の子供達は一体どこで遊んでいるのかな。

私と夫兄で娘と一緒に遊んでいた。
ようやく娘が馴染んできたころ、夫合流。それと入れ替わりで私もちょこっと買い物。

戻ると夫兄が娘に洋服を買ってくれていた。赤いギンガムチェックのワンピース。これからの季節に重宝しそうです、ありがとう。


「行こう」と言ってもなかなか去ろうとしない娘。そりゃそうだよな。
仕方なく「アイス食べよ」で釣る。すんなりおもちゃを片付ける娘。絶対育て方間違ってる。

靴を履いてアイスを食べるまでずーっと「アイス、コンビニ、コンビニのアイス」と呟いていた。コンビニのとは言ってないけど、あまりにもずっと口にしているのでもう手っ取り早くコンビニでアイスを買った。

夫と夫兄は洋服店へ。
私と娘は外のひっそりした裏路地のようなところでアイスを食べる。
普段から「たべるときはおっちゃんこ(座るの意)」と呪文のように言い聞かせていたお陰か、そこのちょっとした段差に「たべる、おっちゃんこ」と言い腰掛ける娘。うん、汚いような気がするけどまぁいいや。偉いじゃないか。私も娘の隣に腰掛けた。

戻ってきた二人に「ストリートチルドレンみたい」と言われた。


そんなところでまた車へ戻り、夫兄を送って解散。




渋谷にはよく来るけど、日曜日♪お買い物♪というテンションで来たことは一度もない。さっさと用を済ませることが最優先で、あとは娘の機嫌をなるべく損ねないようにすることに尽力して終わる。
本当はふらりと入ってみたい店も山ほどあるけど、それはまだまだ先になりそう。


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桃の節句

早いもので3回目の桃の節句
節句のときに父から送られてきた雛人形を先週やっと出した。

今日はすこぶる天気が良く暖かかったので、軽装で一番近くの公園へ。久しぶりだったから二時間くらい娘は飽きずに遊んでた。よくもまぁあんな何もない公園で二時間も遊んでられるな…そしてそれに付き合う私はだいぶ暇な大人だと思う。



去年は確かそれなりにひなまつりらしい夕食を作った気がするけど、今年はしない。なぜって、蛤がバカみたいに高いから。完全に家計と見合ってないし、あさりで代用してしまうとなんだか一気にモチベーションも下がる気がして、いっそのことなにもしないことにした。
ってのも実はただの言い訳で、本当はなぜか全くやる気が起きない。娘にはごめんと思う。でもね、あなたの健やかな成長を私は誰よりも願っているという自負があるよ。面倒くさがりの母を許しておくれ…


その代わりと言っちゃなんだが、昨夜は寿司を食べた。まわる寿司。娘はまわる寿司が大好きだ。

夫と相談したのち「よっしゃ今日はお寿司行こう!」と言うと「おしゅし!おしゅし!」と瞳を輝かせ連呼していた。車に乗ってる間も何度も「おしゅしだよねー?おしゅしいくよねー?」と確認を怠らない。
着いてみたら激混みで、ひたすら待っていたけどなかなか順番が来ないから一旦外行ってみよっか、と待合所から立ち上がり入口のドアを開けたところで娘大泣き。えっ、なんで?こんな人が多いところより外の方よくない?と思ったら「おしゅしーーー!!!」と顔を真っ赤にして絶叫している。帰ると思ったらしい。何かに執着することが普段殆どないので、恥ずかしいけど面白さのほうが勝って笑ってしまった。そんなに…だから何十分も大人しく座ってたのか。おもちゃひとつ持たずに…


ようやく席に着いたあと、娘は今までにないくらい寿司をばくばく食べていた。
私は卓上にある粉末のお茶を盛大にひっくり返した。
夫は「腹減ってない」などとほざいてたくせに最多記録を更新した。




そういう毎日がこれからもずっと続くといい。

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お台場と謎のロング睡眠

土曜日は夫が仕事。最近急激にハマっているとあるテレビを二本鑑賞しつつ、布団干したり掃除したりシーツ洗ったりせわしなく。

日曜日は天気が良くあたたかい春の陽気。海行くべと相成って高速でブーンとお台場へ。首都高は日曜とても空いていて快適快適。この間首都環状線に乗った時は自分が運転していたので周りを見る余裕がなかったのだが、今回は夫が運転のため観光客のようにキョロキョロ見渡していちいち興奮しながらナイスドライブ。

すごくいい場所に駐車場を発見し、そこに車を停めて最初は海浜公園へ。中国人観光客であふれかえっていた。娘は海だ海だと嬉しそう。とにかく海が好きらしい。さすが南国育ち。

河津桜かなんなのかわからないけれど早咲きの桜が歩道に咲き乱れていた。普通の桜よりピンクが濃くて、花弁も多いように見えた。天気がいい上に気温も相まって、春を先取りしたような感じ。


フジテレビへ行ってみた。これといって特に見所はなかったけれど一階にクレーンゲームがあってミニオンのぬいぐるみをゲットした。娘はなぜかミニオンが好きだ。見せたこともないのに。あのビジュアルに魅かれるものがあるらしい。「みにおん」と抱きしめていた。


とにかく風が強い。娘なんて手を繋いでいなかったら吹き飛んでしまいそうだった。バカでかいビルに囲まれてはいるけれど海沿いだから空が広くて気持ちが良かった。

アクアシティにも行った。前回は娘と平日に来たから空いていたけど今回はやっぱり買い物客と観光客で賑わっている。
夫が前々から行きたいと言っていたフライングタイガーという雑貨屋へ行ってみた。ああ、テレビで見たことがある。これのことを言っていたのか。私は好きな類の店だけど、夫がこんな感じの店に行きたいと言うなんて意外だなぁと思っていたら、仕事の関係でどうのこうのと言っていた。

歩いて、走って、いつもの砂浜へ。
日も傾いてすっかり夕暮れの空が広がる。
いつ来ても都会ならではの景色が広がるこの海は、美しいとは言い難いけれど特別な場所だよなぁと思う。


でも、今度はもっと海らしい海に行こう。湘南の海を綺麗だとは思ったことがないので、そうだなぁ、千葉とか。行ったことないし。



次の日の今日。娘は10時に起床。遅い。そして一時間後にはまた寝てしまった。眠そうにしているなぁとは思っていたけどまさか本当に寝るとは。こんなこと滅多にない。いや、まずない。どうしたんだろうと思いつつそのまま寝かせ掃除機かけたりなんやかんやガタガタ家事をしていても、一向に起きる気配はなかった。


そして15時半まで眠りこけていた。途中「まま」と目を覚ますこともあったけど、それでもまた寝る。
出掛けなくちゃいけなかったので無理矢理起こして車に乗せたが、そうでもしなければずっと寝ていたんじゃないか。

そんなに昨日のお台場が疲れたのだろうか。
熱もないし、本格的に目が覚めてからはよく飲むし食べるし、特別具合が悪そうな感じでもない。


なんだろう。
なんでもないといいけど。



そして最近「ん?」という相槌にハマっているらしい。
そうか。
わからないことはわからないと意思表示できるようになったか。とうとう。
「うん」という相槌を覚えたと思ったばっかりだったのに、もう次のステップに進んだらしい。


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