卒乳

昨日山形から友人とその子が家にやってきて、二人にプレゼントを渡した。喜んでくれたので良かった。


そして昼から私たちは酒を飲んだ。
普段わりと鬱々と日中を過ごしているので最高の気分だった。

山形にいるときでは飲むなんて選択肢はまずないし(車だから)、鹿児島にいたのでは友人と会うことなんてまずないし、東京に住んでいるからこそだな…と思うと、これまた引っ越して良かった!と感じる。



ビールを一人1リットルずつ飲んだところでお開き。彼女達は電車に乗って渋谷へ向かった。
改札までお見送りをしたのだけど、娘は電車に乗れるものと思っていたらしく泣きに泣いた。泣かれても、酔っていたのでちっともハラハラしたり焦ったりしなかった…



家に帰ると夫がちょうど帰ってきた。いつもより随分早い。あー早いねー飲んじゃってさ〜すげー酔っ払っちゃった〜アハハなんて言っているうちに、私は気絶。目を覚ますと誰もいなくて布団がかけられていた。どうやら娘を連れてスーパーに買い物に行ってくれていたらしい。
そして気持ち悪いなどとのたまっている私をよそに、夫が夜ご飯を作ってくれた。なんて甲斐甲斐しいのだろう。専業主婦の嫁が、仕事から疲れて帰ってきてみたら酔っ払って寝てるなんて最低最悪じゃないか!

「普段一人で頑張ってるんだから」

と、湯気にまかれながらラーメンを作る夫の神々しいことと言ったらなかった。





夫の神対応も勿論だが、私がこうして酒を飲めるようになったのも娘が乳を離れたからもある。


もうすぐ2歳半。

ついに、完全に、飲まなくても平気になったらしい。


それまで夜寝るときは殆ど毎日乳をくわえていた。
そろそろだよなぁ… 
と思いつつ、
「おっぱい!もむ!(のむ)おっぱ!おっぱ!おっぱい!」と笑う娘が可愛くて決断できずにいた。でも明らかにその言い方もふざけてるし、なくても平気で寝るということも知っている…



粉ミルクを一度も飲むことなく育った娘。乳に悩み、必要以上に出る乳を絞り、夜中泣きながら何度も目を覚ます娘に授乳していたあの頃…産まれたばかりの頃はじょうずに吸えなくて、体重が減ってしまって、退院が長引きそうになったっけ…


乳さえなければ、とそれまで何度思ったかわからない。

乳のせいで半ばノイローゼになっていたと言ってもそれは言い過ぎじゃなくて…


だけどいつしか、私の方が離れられなくなっていた。単純に可愛いのだ。それに乳も出続けている。暫く妊娠する予定もない。やめる必要なんてないじゃないか、と開き直っていた。



でもやはり、起きる。
大体寝入ってから2時間後に一度起きる。
それから明け方にもう一度。
そして起きるまで何回か…


起きないときもある。
だけど起きるときのほうが圧倒的に多い。


それにすっかり慣れていたので別に平気だったのだが、あるとき急に思い立った。きっかけはなかったように思う。ただ、もうすぐ2歳半になるということだけ。


生後半年のときは、せめて1歳までは…と思った。
1歳になったときは、1歳半まで…
2歳になったときは、2歳半まで…


だから、これを逃したら3歳まで乳を飲ませることになる。
3歳…さすがに、いよいよマズイんじゃないか。いくら保育園に通わせる予定はないとしても。





思った通り、乳がなくても娘は寝た。
少し泣いた気もするけど、ほんの一瞬。

「ごろーんだよ」
というと、私の横にごろーんして、そのまま少し身じろぎしたあと、寝た。そして案の定、朝まで起きることもなかった。

それから数日。



もうおっぱいとは言わない。






寂しい気もするけど、娘の成長がやはり嬉しい。もう、2歳半だもんなぁ。




最近本当によく喋るしよく食べる。
「うん」という相槌を覚えたらしく、それによって急激に会話らしくなってきた。






無理して辞めた感もないので、卒乳ということにしよう。当初描いていた理想の形じゃないか。
妊娠中期から出続けていた私の母乳よ、お疲れ様。3年くらいか。

ただ、こうしている今も胸が張って痛い。




これでいよいよ乳幼児からぐっと幼児に近づいた感じがする。やっぱりすこし寂しいけど、でも、それ以上になんだか達成感もある。乳を中心に世界が回っていたあの頃がもはや懐かしい。

終わりはいつも突然だし、あっけない。

f:id:illneko:20160312230826j:image