初めての新宿

友人の結婚式が来月に迫り、同級生が集い余興の会議をする事になった。
ここ5〜6年ほど疎遠になっていた友人達。その間、私は私の人生を歩んでいたみたいだ。

初めての新宿。娘を夫に託し車を降りる。
金曜夜の新宿は、昼かと思うほど明るく、祭かと思うほど人が多い。駅前でジャンベを叩くヒッピーがいた。大抵の人々は酔っているらしかった。とにかく賑やかだ。ネオンが眩しい。しかし人の多さに圧倒されて風景を見回す余裕もなかった。手足が震えた。怖かった。みんなポン中に見えた。


アルタ前。懐かしい顔ぶれを前に、気持ちが緩む。

ついていくと安い居酒屋だった。中は超満員。ギュウギュウに机と椅子が並び、歩くのも難儀するほどに狭く、人が多かった。

一人、また一人、と同級生が集まり、久しぶりーと昔話に花が咲く。近況報告に湧き立つ。そんな状況で余興の会議などできるわけもなく。皆早々に酔っ払い、無論私も雰囲気にのまれ、酒にのまれた。


どうして学生時代の友人というのは、久しぶりに会っても一瞬であの頃に引き戻されるのだろうか。久々に交わした酒はうまく、会話は弾み、楽しかった。結婚してから外であんなに酔っ払ったのは初めてだ。


私は子供中心の生活を送っている。
もう母親になっている。
でもみんなは、今でもこういう日常を過ごしているのだと思うとなんだか不思議だった。同じ時間を生きているのに、こうも違うものかと。



終電の時間が迫り皆で店を出た。
店を出た瞬間に気がついたのだが、目が回るほど酔っ払ってしまっていた。

電車の乗り方がわからない私を気遣い、切符を買い、何から何まで教えてくれた親切な同級生達。改札まで見届けてもらい、早足で電車に乗り込む。京王線高幡不動行き、超満員。

手すりにつかまり「座るな、寝るな」の言いつけを守りじっと隣の人の腕あたりを見つめる。トイレに行きたかった。電車の揺れに合わせて重心を移動しバランスをとる。今は慣れずよろけそうになるが、そのうちこんなことにも慣れてしまうのだろうか。

言いつけを守り、調布駅で降り、反対の電車に乗った。しかしこれが間違いで、京王多摩センター行きの電車に乗ってしまった。やらかした、と早々に気がついたので夫に連絡し、京王多摩川駅で降り、迎えに来てもらうことになった。

その間同級生達から鬼のようにラインがきており、とても心配してくれていた。有難いし申し訳ないなぁと思った。


誰もいない京王多摩川駅で降り、トイレに入り、電話をして、外で待つ。何もない、静かな駅。

ほどなくして夫が到着し、若干小言を言われたような気もするが酔っていてそれどころではなく早く布団に入りたかった。



貴重な体験をした。
頻繁にできることじゃないから、夫と娘と同級生達にありがとうと言いたい。いつかまた、新宿に飲みに行けたらいい。

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