年の瀬

クリスマスイブの日にささやかなそれらしい料理を作って食べた。娘には初めてサンタさんがきた。欲しがってたアンパンマンのボール。まだクリスマスの概念がないから、なんのこっちゃだったとは思うけど。でもトナカイとクリスマスツリーは認識している。あとあわてんぼうのサンタクロースとジングルベルはちょっと、ほんのちょっとだけ歌える。

クリスマスの日は日中弟がやってきた。今年父親になる。

27歳になった誕生日の日に、朝早く起きて高速に乗って実家へ帰省した。

予想に反してガラガラの高速。いつまでたっても雪景色は見えてこない。
昼前には福島まで来ていて、あまり早く着いてもあれだから一旦高速を降り、プラント5で買い物をして優勝軒でメチャクチャなラーメンを食べた。なんだあれは。ほとんどもやし。おそらく2〜3袋分。

そして夕方頃、一年ぶりの故郷に到着した。
雪のない年の瀬は初めてだ。生まれてこのかた、記憶にない。父も祖母も同じらしい。雪が好きな私は少し寂しい。 

それでもパラパラと雪がちらつく。積もるほどではない。南国育ちの娘は不思議そうに見つめたあと、「ゆきだー!」と嬉しそう。よかったね。


温泉に行ったり、飲みに行ったり、夫が朝帰りしてみたり、温泉に行ったり、新しくできた大型ショッピングセンターへ買い物へ出掛けたり、ラーメンを食べたり、友達と会ったり、と、忙しなくやりたかったことはあらかた終わった。
ああ、祖父母宅へ行かなくては。母は、どうしようかな。




わかったことがいくつかある。

酒は、落ち着ける人と飲むのが一番だということ。そうじゃないと飲めば飲むほど酔えなくて焦り、いたずらに時は流れやたらめったらトイレに行きたくなるばかりだ。
でもそれでよかったのかもしれない。自分が思ってる以上に私は小心者で、もしかしたら嫌悪感もあるのかも。思い出を美しいままにしておけない性分だったはずなのに、人とは変わるものだ。一抹の後悔は正直拭えそうもないが、それでよかったと思うしかない。ああ。


そして、マインドコントロールとは恐ろしいものだということ。もはや父にかつての威厳も尊厳もない。自明しているはずなのにどうしようもないのだから救いようがない。ただ、明日チャンスがあれば言うべきことは言おう。



あと、故郷はいいものだということ。
町のあちこちに思い出が染み付いている。冬の風の冷たさも、星の瞬きも、ゲレンデの明かりも、山々の壮大なことも、なにもかも、たまらなく懐かしくて切ない。





なんだかこの気持ちをうまく消化できそうにない。どうしたらいいのかもわからない。私は、いつになったら前へ進めるのだろうか。なんて愚かで情けないんだろう。夢にまで見たというのに、結局なにもできないじゃないか。

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