羽田ではじける赤い実

今日はいい日だった。


朝、山形から祖母と父がやってきた。
私達が朝食を食べ終える頃に家を出て、弟夫婦と合流。そして羽田へ。

初めてベイブリッジを渡った。都会の摩天楼が広域に見渡せる。あちこちで灰色の煙が立ち上る工業地帯。その景色は異様で壮観で、まさにシンシティ。

国際線ターミナルへ行かなきゃいけないのに降りるインターを間違えて国内線の駐車場に入れてしまったり、紆余曲折はあったけれど羽田空港国際ターミナルへ到着。

成田に比べて外国人の数が少ない。まぁそれもそうか。
外国人よりもアニメのコスプレをした人達の方が多かったように思う。ちょうどなにかイベントが行われていたみたいだった。

展望デッキで飛行機を見る。
娘は案の定大喜び。寒かったので娘のことは夫に任せ、私はさっさと中に戻った。

そのとき弟の奥さん(私より6つ年上、妊娠6ヶ月)と話していたのだけれど、お腹が随分大きくなっていた。触らせてもらうと確かにそこに生命の息吹を感じる。気がする。おお…!
次の検診で性別がわかるだろうとのこと。どっちかな。楽しみだな。

 
父の彼女(事実婚状態なので継母ともいえる)と、その子供(小学校一年生、イケメン男児、ミックス)が到着。半袖で真夏の装いだった。私達が来ることは報せていなかったので、「サプラーイズ!」と言って迎えた。ものすごく喜んでいた。

娘も予期せず「おにいちゃん」に会えて、最初は戸惑っていたけどすぐに慣れ「おにいちゃん!」と嬉しそうに彼の後ろをついて回っていた。
正月に山形に帰省して以来、ことあるごとに「なつ、やまがた、おにいちゃん、はなび」と口にしていた娘。その夏が来る前におにいちゃんに会えて相当嬉しかったらしい。

二人仲良く手を繋いで空港内を歩いている。
娘は私と夫以外の人の手は受け付けないはずなのに、これは…
しかも娘から手を出して催促している。なんと…

全員で中華料理店に入り遅めの昼食をとる。
普段からは考えられないくらい娘はモリモリとご飯を食べた。それも自分で。食の細い娘の食べっぷりに、ただただ目を丸くするばかりだった。
私と弟、父の彼女、祖母はビールをぐいぐい飲んだ。しかしエンジンがかかってきたところでお開き。彼らはこれから山形に帰るのだ。

恋を煩うと食事が喉を通らないというけれど、娘の場合は逆なのだろうか。
兎にも角にもこれはやはり初恋のようなもので間違いないだろう。たぶん。年上だしイケメンだし面倒見いいしな。うん、わかるわかる。

別々の車に乗るギリギリまで、娘はおにいちゃんの手を離さなかった。これからみんなで飛行機に乗って山形へ行くものと思い込んでいる娘をなんとか引き離し、また夏に帰るねーと別れた。

しばらく「ひこうき!はやく!」とか「やまがたいこー!」とか言っていたが、すぐに寝た。助かった。


さっき、風呂に入る前に夫が「おにいちゃんのこと好き?」と聞いたら「おにいちゃんしゅき」と俯きながら恥ずかしそうに言った。夫は「甘酸っぱい!」と感動していた。




うん、いい日だった。

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